うまく分類すれば、臨床はとってもシンプル【その2】

では、評価の基本
「 PART6」です。

評価ポイントとして
「力を診る」ということをお伝えしてきました。
組織損傷を引き起こし、
痛みを発生させる「3つの力」があります。

前回は、「3つの力」のうち、
1つ目の力を紹介しました。

では、今回は2例目です。
一緒に考えてみましょう。

 

ある患者さんが、
首の痛みを訴えていらっしゃいました。

今回のような強い痛み症状は初めてだけど、
昔から慢性的に肩こりがありました。

レントゲン画像では、
頸椎前弯の消失(いわゆるストレートネック)
椎間孔の狭小化
骨棘の形成
これらが確認できました。

姿勢は頭部前方偏位、
胸椎後弯増強の状態です。

動作確認や圧痛から、
頭頸部の伸展筋に痛みを生じていると
確認できました。

では前回と同じように、
「なぜ痛いのか?」考えてみましょう。
「力を診る」という観点も忘れずに。

まず、
痛みを生じさせた組織損傷の原因は
なんでしょうか?

どんな「力」患部にかかって、
患部の組織を傷つけたのでしょうか?

この状況では、まだわかりませんね。

ただし、
椎体の変形は1日や2日でできません。

変形という事実から、
長期間にわたる頸椎への「力」が存在している。
そう考えておいて、
問診や身体評価を行ったほうがよさそうです。

さて、評価を進めます。

受傷機転や普段の過ごし方などに、
患部への「力」がかかっていないかを考えます。

受傷機転の確認で、
「ここ3日位ずっと忙しくて、
長時間パソコン作業が続いたんだよね・・」
とかがあれば、怪しいです。

その時の姿勢や動作が、
患部の組織を傷つける「力」を
発生させた可能性があります。

とにかく、
クリニックにいらっしゃる方々の痛みには、
患部への「力」の存在があります。

痛くなる前に何かなかったか?と、
受傷機転を問診することが必要です。

患部を損傷させた力の存在を確かめる手掛かりとなります。

例に戻ります。

そして、
受傷機転と考えられる姿勢を再現したところ、
こんなアライメントが確認できました。

胸椎後弯増強
頭部前方偏位
頭部過伸展姿勢

患部の頭頸部伸展筋が頭の重さを支え続ける
そんな姿勢でした。

この矢状面上の姿勢から、
患部への「力」存在が確認できました。

また、
姿勢を再現していると
痛みも徐々に強くなり、
患部の硬結、圧痛、収縮時痛
これらも確認できました。

振り返ります。

なぜ痛くなったのか?
すなわち、
組織を損傷させた力はどこからかかったのか?

既往歴もあり、X-p画像の椎体変形から
慢性的な頚部への負荷が予測される。

受傷機転を確認。

受傷機転と考えられる状況を再現してみる。

患部の頸部筋を傷める可能性のある力が
かかっていたことが確認できた。

患部の筋緊張が亢進している。

治療の1つとして、
患部のリラクセーションを促す対応が考えられる。

さらに、


座位時の頭部前方偏位という姿勢保持不良が、
患部を傷める「力」を発生させることとなった。

矢状面における
不良アライメントの原因を考える。

「脊柱-骨盤の可動性」や、
「能動的に体幹アライメントを
ニュートラルな位置で保てる能力」が
あるかどうかを確認する。

上記評価の結果、ストレッチや運動などの
姿勢改善を目的とした治療方法を考える。

こんな風に考えられます。

だから~、
さっきからそんなの当たり前じゃんっ!!
、、こんな風に思いましたか?

でも、
こんな単純な話ではなくなった途端、
「??」
「あれか?」
「これか?」
と、心が乱れていませんか?

どんな症例も今回と同じように、
まずは「患部を傷つけた力」の存在から
考えればいいのに。。。

 

今回のケースは、長時間にわたる
頭部前方偏位という不良姿勢で発生した力が、
患部の頭頸部伸展筋に負担をかけた。
という例で考えてみました。

今回のケースで組織を損傷させた力何か?

それは「重力」です。

頭部という部位にかかっている重力が、
頭頸部伸展筋に長時間の負担を強いたのです。

その結果、
組織が傷んでしまい、痛みが生じたのです。

このような「重力」による負担を、
多くのPTは忘れがちです。

今回のように、
頭部前方偏位という
単純でわかりやすい出来事なら、
頭部にかかる「重力」を考えますよね。
なのに、
他のケースでは
重力の存在を全く気にせず、
細かいアライメントや
細かい関節の可動性や
インナーマッスルのスパズムや
筋膜連鎖的や運動連鎖などなど

細かい評価をしがちではないですか?

患部が膝だろうが腰だろうが何であれ、
まずは「重力」の影響を考慮すべきなのです。

何度も何度も繰り返しになりますが、

クリニックにいらっしゃる方々の痛みには、
必ず「組織を傷つける力」が存在しています。

部位による例外はありません。

必ず「力」が存在しています。

その「力」を探し出す。

そこから考えて評価をするから、
的外れにはならないんです。

 

前回と今回で、2つの例を紹介しました。
2つの例のように単純なことであれば
根本原因を「力」で考えているのに、
状況が少し複雑になってくると
「関節の副運動が?」
「筋膜が?」
「運動連鎖?」
「仙腸関節?」
「?????」
と、「力」そっちのけで
慌ただしくなってしまっていませんか?

とにかく、まずは落ち着いて、
組織を損傷させたの存在を確かめることです。

今回確認した力は「重力」です。
組織を損傷させて痛みを引き起こす3つの力
前回は「不可抗力的な外からの力」
今回は「重力」
残りはあと1つです。

では次回に、3例目を考えてみましょう。

前のページ  11-5:うまく分類すれば、臨床はとってもシンプル【その1】
このページ  11‐6:うまく分類すれば、臨床はとってもシンプル【その2】
次のページ  11-7:うまく分類すれば、臨床はとってもシンプル【その3】

The workshop on physical exercise
代表:三井祐紀